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小林よしのり
2018.7.13 07:59日々の出来事

乞食になるな、国の世話になるな

今日は5時半に目が覚め、いくら何でもこれは早過ぎると
頑張って寝たつもりだが、目覚めたのが6時半、ダメだ、
また睡眠不足で起きてしまった。
クーラーつけなきゃ暑いし、自動で入るようにしてたら、
寒くて目覚める。
チーフ広井がクーラー入れっぱなしで、布団をかぶって
寝るのが正解と言うから、やってみたが、どうしても
布団をはねのけてしまう。暑いのだ。

わしは早起きしたら即、書斎に籠って仕事に集中し、
2時間ほどでエネルギーを使い切って、空腹で意識朦朧と
してくる。
だが、妻は9時過ぎにしか起きない。
今まで無理してわしに合わせ、朝食はちゃんと作っていたが、
歳をとって、わしの体力についていけなくなったようだ。
60過ぎたら、人の体力は落ちるのが普通。
わしが4時間睡眠でガンガン仕事するから、普通はついて
これない。
これからは腹へったらすぐ即席めんを自分で作って食おう
と思う。

それから周期的に数日間、ホテルに籠らなければ、
わし自身の体力も危うい。
ホテルの部屋は一定の温度を保って、常に涼しい上に、
朝は遮光カーテンで、真っ暗だから、いつ朝が来たのかも
分からず、7時間以上、爆睡してしまう。
その上、朝食がルームサービスで食べられるから、空腹を
我慢する必要もない。

この仕事のペースを守って、体調を崩さないようにする
ためには、即席めんを食うことも、ホテルに籠ることも
必要である。
手塚治虫は自宅に帰る暇もなく、仕事場の部屋に籠って、
握り飯食いながら描いていたが、結局、60歳で死んで
しまった。
わしは8月で65歳、自分で自分の身体を守りながら、
あと10年は描きたいし、さらに新たな漫画を創作する
野望も持っている。

スタッフはちゃんとついてきているし、仕事があった
方が彼らも「やりがい」があるから堕落せずに済む
だろう。
人間は自分が「必要」ない存在と思うことが一番キツイ
ということは、最近の無差別テロや、オウム信者を
見てたら、分かるだろう。

「SPA!」の「貯金ゼロ円の恐怖」という特集も見たが、
ちょうどわしは「SPA!」『よしりん辻説法』で「貯金」
について描いている。
わしの父は「乞食になるな」「国の世話になるな」が教え
だった。
うちのスタッフは将来、乞食にはならないからな。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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